皆さまこんにちは。
フードコーディネーターの渡辺夏子です。
第6回目は
熊本で一番有名で、熊本で一番元気で、熊本で一番お洒落な女性。
~焼酎BAR 天真爛漫オーナー 中川ひとみ氏~
焼酎BAR天真爛漫。そう、熊本で知らぬ人はいない“あの店”。
とびきり楽しい時を過ごしたい夜。心の底から笑いたい夜。
どちらの場合も不思議と足が向いてしまう“あの店”には、いつだってママの天真爛漫な笑顔が待っている。
「来年は同級生の還暦パーティの準備で忙しいとたい」と話すひとみママは、御年58歳。
何度聞いても、にわかには信じられない年齢である。どうだろうか、このツヤツヤの肌。ピカピカの笑顔!
私とひとみママの出会いは、今から5年前のこと。
東京丸の内の新丸ビルで、現在も年に1~2度開催されている“出張天真爛漫”であった。
“出張天真爛漫”は、熊本出身の重鎮や著名人、はたまた熊本を愛する人たちがひとみママを囲み、熊本弁とお酒を心置きなく楽しむイベント。5日間の開催期間中、訪れる人の数はなんと延べ400~500名に上る。
これだけで、彼女にどれだけ人を惹きつける魅力があるか、伺い知れるというものだ。
スタイリッシュな東京のド真ん中に熊本の熱気や文化や情が入り乱れ、異常な盛り上がりをみせる特別な5日間。初対面の私は、芸能人顔負けの存在感と他に類をみない人気ぶりに、ただただ圧倒されてしまったものだった。
誰からも愛され、慕われるひとみママの人生は、とにかく濃い。
密度が濃い。
エピソードも濃い(濃厚な人生経験の数々は、ぜひお店でママから直接聞いていただきたい)
高校卒業後はフリーターを経て、デザイナーズブランド全盛の時代にハウスマヌカンとなり、バブル時代を謳歌したひとみママ。
熊本の一時代を築いた雑貨店の店主となり、結婚、出産、離婚を経て、従妹の真紀ちゃんと天真爛漫をオープンしたのは41歳のとき。
今年で16周年を迎え、現在6名のスタッフが働いている天真爛漫は、今や押しも押されぬ人気店。
熊本の夜に欠かせない灯火である。
さて、衝撃の初対面から2年後、私が熊本に引っ越してきた3年前のこと。
フードコーディネーターとして自立することを目標としていたものの、何のツテも人脈もなかった私は “出張天真爛漫”の記憶を辿り、真っ先にひとみママを訪ねた。
夜の飲食店勤務の経験などまるでなかったくせに
「週に一度でもいいから働かせてもらえないか」という無理無体なお願いである。
普通、断るだろう。どんだけトウの立った新人だ。
そんな無茶ぶりにも関わらず、ひとみママは「頑張りなっせ!!!」と二つ返事で快く引き受けてくれたばかりか、店で名刺を配ることも許可してくれた。
しかも、飲食関係のお客様には率先して紹介してくれ、駆け出しフードコーディネーターの私を全面的に応援してくれたのだ。
勤め始めて間もないある日、お客様が私に身の丈に合わない仕事の話を持ち掛けてくれたことがあった。
面白そうな仕事ではあったが、経験も自信もなかった私。
「とてもじゃないけど難しいです」と尻込みしたところ、様子を見ていたひとみママに袖を引かれ、裏の通路に引っ張り込まれた。
「なっちゃん! ダメたい。何でもやります! 頑張ります!て言わなんたい!!!」と厳しく諭してくれたママは、いつの間にか私の代わりに「頑張ります!」と返事をしていた。
天真爛漫では、その後も一年間お世話になったが、ひとみママから叱られたのは後にも先にもこれっきり。
同店のスタッフの入れ替わりが極端に少ないのは、ひとみママの底抜けに明るく、どこまでも優しく温かい性格に皆が惚れ込むからであろう。
常に楽しく、面白く。
屈託なくケラケラと笑う姿が、好奇心旺盛な少女を思わせるひとみママ。
「出会いと、人との繋がりが何より大切たい。」と語る彼女に、10年後の目標を聞いてみた。
まずは健康! 死ぬまで現役!!!
美味しいものを食べて、
オシャレをして、
飛行機に乗って、旅行に行って、
彼氏がおったら最高ね!!!
まさに現在、ナウ、“出張天真爛漫”は2月7日まで【丸の内新丸ビル7F 丸の内ハウス現BAR】にて開催中。
このコラムを読んで、ひとみママに会いたくなってしまった方、
懐かしい熊本に浸りたくなった方、
なんさま熊本を感じて元気になりたい方は、ぜひ足を運んでみてほしい。
天真爛漫。その言葉の意味を純度100%の結晶にしたような素晴らしい笑顔に、きっと出会えるはずだから。
天真爛漫…明るく純真で無邪気なこと。飾らず自然のままの姿があふれ出ている様子。